この回のポイント
- 風池(ふうち) — 柳谷著『秘方一本鍼伝書』の「眼疾一切の鍼」で用いるツボ(鍼の文脈)
- はし(箸)の太い方で押す — 家庭鍼法
この記事は、宮崎県庁「医療薬務課」の依頼により執筆した、宮崎日日新聞「元気のススメ」への全4回の連載の、第4回です。第1回はストレス解消のツボ、第2回は疲れをとるツボ、第3回は笑顔のツボです。
※眼精疲労の取り方には個人差があります。パソコンやスマホで目がつらい方は、眼精疲労の鍼灸(当院の受診向けページ)もご覧ください。
「秘方一本鍼伝書」(柳谷素霊著、一九四六年四月初版)という鍼(はり)治療の書物があります。この書は、戦後の医薬品不足の中、鍼一本で患者の病苦を軽減させ一人でも多くの患者を救おうと、柳谷先生自身の術式を世に公開されたものなのです。これを一本鍼(いっぽんしん)といいます。
古来の鍼法では、脈を診て証(しょう・病状の東洋医学的診断と治療方針)を立て、ツボを選び技を施す方法が本来の姿とされますが、これに相対した一本鍼も古来より行われてきた、優れた治療法なのです。
この中に「風池(ふうち)」というツボを使用した「眼疾一切の鍼」という、目の病気に効果のある鍼法があります。鍼をツボに繊細に刺入し、目の奥や側頭部にズーンという感じが起これば、より効果が上がります。
今回は「風池」を使い、目の疲れを取ると同時に、首や肩の痛みにも効果のある「家庭鍼法」を紹介します。
※はし(箸)の太い方で風池を押す手順は、家庭鍼法(高野義道の造語)です。『秘方一本鍼伝書』(柳谷素霊著)の考え方には基づきません。
準備と風池(ふうち)の位置
まず、はし(箸)を準備します。
この書での「風池」は、耳の後ろにある三角形の骨の後ろ側のきわにある、ゴリゴリした小さい盛りあがりの直下にあり、上を向いた時にくぼみができるところです。
※教科書の取穴(足の少陽経・第二十穴「風池」):後頭部、胸鎖乳突筋の腱部と斜方筋の前縁の間の窩状部、髪の毛際付近。連載文で案内する風池は耳の後ろの三角形の骨の後ろ側・盛りあがりの直下で、位置が異なります(当院では柳谷式風池ともいいます)。
はし(箸)で押す手順
その風池にはし(箸)の太い方を当て、ほんの少し押して軽く痛みを感じましょう。(三角形の骨の下にくぐらせるような気持で押してください。)
まぶたを閉じてしばらく押し続けましょう。気持ちが落ち着いてきたのではないでしょうか。
押さえたまま、軽く回したり戻したりと、交互にゆっくり動かしてください。そして、目玉を右か左にほんの少しだけ動かし、五秒間止めてから戻してください。眠くなる前のまぶたの重い感じがあれば効果抜群です。
はし(箸)を皮膚から離す時は、息を吸いながら行います。離した瞬間、はし(箸)を押さえていたところにふたをするようなイメージで、指先を十秒間おいてください。
東洋医学への問い合わせは、国家免許を持つかかりつけの鍼灸師、マッサージ指圧師まで。
(県鍼灸マッサージ師会法制部長・高野義道)